れーこの叫び
ボヤキと叫びのバックナンバーから
名作をまとめて 本にしました
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わが家のブラックホール

ムスメはこの春めでたく女子大生になった
大学ともなると少しは色気が出てくるのか
ウルウルとワシに訴えた
「コンタクトにしたいの」

ううむ、コンタクトかあ


確かにムスメはド近眼
だから普段もメガネ着用が望ましいのだが
哀しいかなかわいいお鼻のせいで眼鏡がずり落ちるのがうっとうしいのか
あまりメガネをかけたがらない
でも、物が見えづらいのか見るときに
睨むようないやな目つきになる
「あんさん、せっかく大きい目なのに目つき悪過ぎでっせ」
と茶化すが
「めんどくさあ~い」とかけない


ううむううむ
やっと、少しは男に囲まれる環境になったのに
最初の彼氏を連れてくる日は遠くなってしまう
別にムスメが彼氏を連れてこようがそれが私の彼氏になるわけではないから
そんなの関係ねえなのだが
自分にこれからそんなことが起こる可能性は
果てしなく砂漠の砂より小さいとなると
(書きながら哀しくなってきた)
一番身近な同性の話はことのほかうきうきするのだ

そうよね
メガネをはずせば売りの大きい目が目立つわよね
でも・・・・高いしそれに・・・


不安材料、それは私以上のダダクサムスメな事だ
「梅干しコロコロ」でも書いたように凄い部屋なのだ
そしてムスメはドジなのだアホなのだ天然ちゃんなのだ

落とすことは必須条件

ううむううむ

でも、コンタクトにしたいだろうなあ、年頃だし


よっしゃあ、買ってみるか
使い捨てで様子を見ればいいし


そう腹をくくって眼科に行き受診
けろっと女医さんが言う、恐ろしく早口の女医さんだった
アナウンサーになれば良かったのに
「娘さんねえ強い乱視が入っているんですよ、ハードでしか矯正できませんねえ」
「はああ?ハード?」
「そう、はーど」
「まあ、ハードは金額は張るけど長い目で見たら経済的なんですよ」
「はああ」
「ハードしかだせません」
「はあああ、はーどだわ」
なんてダジャレをいうほどの気力はなかったが
すまなそうに小さくなる娘を見たら何も言えないしなあ
物を大切にすることを覚えるいい機会かもしれない、なんて教育的心を持ったりした

ムスメに真剣にいう
「いい、お金を目にはめてると思いなさい!!
コンタクト落とすのはお金を落とすことなんだよ!!!!」
娘も真剣にいう
「わかった!!!お金と思ったらぜったいなくさない!!」

ほんとかあ
良くお年玉袋部屋に落ちたぞ

不安を抱きつつそれでも保険を付けて
泣く泣くン万円を支払いコンタクト生活は始まったのだ

ハードは目になじみにくいと言うのに
ムスメはよほど傷みに強いのか鈍感なのかすんなりはめたしなじんだ

最初なくしたのは2週間ほど、ううん想定内、でも早すぎるぞおい
部屋で落としたらしいが
二人がかりで必死に探してもない
ムスメは半泣き状態でないないない、いやわたしがなきたいんだけど
それにこの状態の部屋で探せるかい!!!
泣く泣く有料で(まあ安くはなるけど)片目購入したさ


2回目は駅で落としたらしい、これが2ヶ月目
目からずれたからはずそうとしたらカバンの中に落下
学校でカバンの中をぶちまけて探したがない
ないないない
私も探したがない
前から左目がずれる、外れると言っていたから
眼科に行ってコンタクトを変えろと言っていたのに
この始末
自分で払えと冷たく言ったれーこであった

3回目ともなりゃ、やれやれ
しかも4ヶ月目だ
それもまた自分の部屋となりゃ
「なにやとんじゃ、われ!!!」と言いたくなってくる
しかしないんだなあ、これが
今度は3人で探したさ、
私なんか掃除機ですってゴミを検分までしたさ
呆けて言う「おまえさ、こんなことしてたらバイト代が全部コンタクトで消えるよ」

「ど~~~せ、コンタクトしないほうがいいんだあああ」となくムスメ
だから見つからないのが不思議なんだって!!!


ブラックホールはあった
宇宙なんて果ての話ではない
うちの中
ムスメの部屋
いつかの梅干しは宇宙の果てから来たのよ

どうせブラックホールなら
いつかドラえもんがムスメの机から出てきてくれないかしら
そして便利な道具を出してくれるのよ

ああ、今私は真剣にドラえもんが欲しい




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